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北勢病院homeお知らせ 〉 精神科疾患 授業資料 2018/5/31桑名高等学校衛生看護科

  • 2018.05.29

精神科疾患 授業資料 2018/5/31桑名高等学校衛生看護科

メヂカルフレンド社 精神看護学2 第3章について5月31日からの講義内容です。

C双極性障害(躁うつ病)P79

躁うつ病(エネルギーの無駄遣い)とうつ病(エネルギーが枯渇)は異なる疾患です。
躁うつ病ではエネルギーの配分をコントロールできないのに対して、うつ病はそもそも使うエネルギーがない状態。

統合失調症の滅裂思考と躁うつ病の観念奔逸の比較(P29)
躁とうつの比較(P81 表3-4)

躁の誇大妄想 苛々しながら逸脱行為があり、時に生命の危険があります。
うつの罪業妄想 趣味も楽しめない。生きることに飽きて退屈。自殺念慮。


D抑うつ障害(うつ病)
うつ病の症状(P86) → Iの身体症状症(P111)と重複
重症度の評価 → 自責感から自殺念慮へ 微小妄想(P32)も参照

入院治療の条件(P87)
心理教育、認知行動療法(P87下段 P88 図3-6、7)


E不安症
パニック症 過呼吸(喘息との鑑別)、胸苦(狭心症との鑑別)
社交不安症 対人恐怖
全般不安症 過覚醒、過度の筋緊張


F強迫症
無駄だと分かっていてもやめられない
思考体験の異常(P32)を参照 チック症(P72)との類似


G心的外傷後ストレス障害(PTSD)
侵入症状 自分の意志とは関係なくトラウマ体験を思い出す
解離 トラウマ体験を意識から切り離す
過覚醒 ときに飲酒、賭博、自己破壊につながります

適応障害(P105)は何らかの環境ストレスによって、うつ、不安症に類似した症状を呈します。

反応性愛着障害、脱抑制型対人交流障害(P107)は、養育環境が劣悪なために、人との関わりがうまくできず自閉スペトラム症と似た兆候を示します。


H解離症
苦痛を感じないために、心のある部分を切り離す(P35自我意識の障害も参照)


I身体症状症
ざっくりと説明します。
身体症状症 胃が痛くて精神的にもつらい
病気不安症 胃が痛くならないか考えすぎて精神的につらい
変換症 解離によって身体症状が起きる


N境界性(情緒不安定性)パーソナリティー障害(P140) 
 
大雑把に言えば、社会で生きていくスキルが身についていない人たちを指します。

両親との関わり、友人関係、異性との関係という発達段階を通過していないことが多く、自他の考えを区別できていない。人間には善悪両面があることを理解しがたい。
自らの中の悪を他者に投影する(押しつける)傾向があります。

スプリット思考 
最初は患者が「治すために入院したい」というから入院になった。
しかし入院すると「苦しいから退院したい」、しかし主治医が「入院させる」と主張。
「退院したい」気持ちも「入院したい」気持ちも患者のもの。だから患者に返す。
退院したければ自分の判断で退院させる。

見捨てられ不安
捨てられるのを恐れるあまり、恋人が自分を見捨てると非難する
  
理想化とこき下ろし
要求が次第に大きくなり、要求が通らなくなると非難する

治療対応としては
今、ここで。具体的な生活場面で現実の問題(感情の爆発、悩みの原因)を扱う。
内省できるまで待つ。自分で気づけるよう手助けする。

問題のすり替えに治療者が気づく。
生育歴、過去の親子関係より、現在の友人関係、恋愛、通学、出勤状況、体の不調などを取り上げる。過去の問題、自傷他害、退行的な行動より、現在の生活場面での問題を取り上げる。
「どうして手首を切ったの」→「学校の人間関係でどのように困っていたの」

問題をわかりやすく客観的に描写し、病気を外在化
→大変な問題だと共感はするが、具体的なアドバイス、批判は控える。
→治療目標を明確に(手首を切ることを減らす 薬物乱用を減らす)
患者の気持ちを引き受けすぎない。患者に主体性、責任を負わせる。

薬物療法は少量の非定型精神病薬。抗不安薬は脱抑制の危険があり勧められない。


薬物依存症、アルコール依存症(P126)、摂食障害(P115)はしばしば合併することがあります。

自閉スペクトラム症(P69)とパーソナリティー障害の鑑別は重要です。両者とも風変わりで理解しがたい人々であることが多いが、自閉症では集団行動の型にうまくはまると次第に落ち着く。一方、パーソナリティー障害は型にはめられると激しく拒否する傾向があります。


精神科の病気は大きく分けて、次の5つのカテゴリーがあります。

外因→内因→心因の順で原因を探します(P64)
正常と異常は連続している(スペクトラム)
精神症状と病気が1対1で結びつくわけではない→カテゴリー診断(P22)

1統合失調症 
2躁うつ病、うつ病、不安症、強迫症、アルコール依存症、摂食障害 
3意識障害(せん妄、睡眠障害、てんかん)
4小児の精神疾患(自閉症スペクトラム、知的障害など) 
5高齢者の精神疾患(認知症) 

1の疾患は、空想の世界に飛躍して人間関係を断つ傾向。対して2の疾患群は現実の人間関係にこだわることで病状が悪化する傾向があります。


統合失調症の「症状」「困っていること」とは「ひととなり、人間性、生き方」の表れ

病気の症状がなぜ起こってくるか理解しようとする。
同じ目線で同じ人間として敬意を持って接する。相手の感じ方、態度に合わせる。
説得しようとしない。黙って同じ場所にたたずみ話を聴く。
今、この場では『安全であること』を(言葉だけではなく)態度で伝える。

暴力を振るってしまうのは
衝動を抑制する為のエネルギーや余裕がないから(=行動をコントロールできない)

他者を怖がって、自分の身を守るために攻撃している(周りをコントロールしようとして他者を怖がらせているのではない!)


関わりを拒絶するのは
(隅でうずくまり、無表情で視線を合わさず、問いかけにもなかなか応じない)
⇒ 自分の内面が探られている。自分の存在がおびやかされていると感じている。
緊張して余裕がなく、自分の気持ちを表現できない
⇒ たくさん話しかけるよりも、まずその人を理解していこうと心がける。
⇒ 表情や姿勢、行動から、かれが何に興味を持って、どんな反応をするのかを少しずつ知っていく。無理やり動かそうとせず、かれらのペースに合わせる。
⇒ 体の心配や、身の回りの世話を通して、少しずつ関わっていく(便秘や下痢、食事が摂れない、脱水など)

なぜ、関わりを拒絶するのか? なんらかの不安、あるいは妄想や疑いを抱いているのかもしれない。他人には理解できなくても、彼にとってその恐怖は本物の体験(実際の状況ではなく、その人が状況をどう受け取るか)。肯定も否定もしない。「私にはわからないが、あなたはそう思えて苦しんでいるのですね。」という態度。

 生活にリズムをもたせ、今、ここでの現実との関わりを強化する。洗面や歯磨き、入浴等の際に「気持ちいいね」「さっぱりするね」と言葉を添える


以上の内容は、分かりやさを優先して簡略化して説明しています。実際の臨床上では例外も多いのでご注意下さい。

前回の講義内容です。

メヂカルフレンド社 精神看護学2 第2章 精神症状について(2018/5/10)
メヂカルフレンド社 精神看護学2 第3章 統合失調症、神経発達症群(2018/5/24)

北勢病院 精神科医師 森豊和

 
メヂカルフレンド社 精神看護学2 第3章について5月31日からの講義内容です。

C双極性障害(躁うつ病)P79

躁うつ病(エネルギーの無駄遣い)とうつ病(エネルギーが枯渇)は異なる疾患です。
躁うつ病ではエネルギーの配分をコントロールできないのに対して、うつ病はそもそも使うエネルギーがない状態。

統合失調症の滅裂思考と躁うつ病の観念奔逸の比較(P29)
躁とうつの比較(P81 表3-4)

躁の誇大妄想 苛々しながら逸脱行為があり、時に生命の危険があります。
うつの罪業妄想 趣味も楽しめない。生きることに飽きて退屈。自殺念慮。


D抑うつ障害(うつ病)
うつ病の症状(P86) → Iの身体症状症(P111)と重複
重症度の評価 → 自責感から自殺念慮へ 微小妄想(P32)も参照

入院治療の条件(P87)
心理教育、認知行動療法(P87下段 P88 図3-6、7)


E不安症
パニック症 過呼吸(喘息との鑑別)、胸苦(狭心症との鑑別)
社交不安症 対人恐怖
全般不安症 過覚醒、過度の筋緊張


F強迫症
無駄だと分かっていてもやめられない
思考体験の異常(P32)を参照 チック症(P72)との類似


G心的外傷後ストレス障害(PTSD)
侵入症状 自分の意志とは関係なくトラウマ体験を思い出す
解離 トラウマ体験を意識から切り離す
過覚醒 ときに飲酒、賭博、自己破壊につながります

適応障害(P105)は何らかの環境ストレスによって、うつ、不安症に類似した症状を呈します。

反応性愛着障害、脱抑制型対人交流障害(P107)は、養育環境が劣悪なために、人との関わりがうまくできず自閉スペトラム症と似た兆候を示します。


H解離症
苦痛を感じないために、心のある部分を切り離す(P35自我意識の障害も参照)


I身体症状症
ざっくりと説明します。
身体症状症 胃が痛くて精神的にもつらい
病気不安症 胃が痛くならないか考えすぎて精神的につらい
変換症 解離によって身体症状が起きる


N境界性(情緒不安定性)パーソナリティー障害(P140) 
 
大雑把に言えば、社会で生きていくスキルが身についていない人たちを指します。

両親との関わり、友人関係、異性との関係という発達段階を通過していないことが多く、自他の考えを区別できていない。人間には善悪両面があることを理解しがたい。
自らの中の悪を他者に投影する(押しつける)傾向があります。

スプリット思考 
最初は患者が「治すために入院したい」というから入院になった。
しかし入院すると「苦しいから退院したい」、しかし主治医が「入院させる」と主張。
「退院したい」気持ちも「入院したい」気持ちも患者のもの。だから患者に返す。
退院したければ自分の判断で退院させる。

見捨てられ不安
捨てられるのを恐れるあまり、恋人が自分を見捨てると非難する
  
理想化とこき下ろし
要求が次第に大きくなり、要求が通らなくなると非難する

治療対応としては
今、ここで。具体的な生活場面で現実の問題(感情の爆発、悩みの原因)を扱う。
内省できるまで待つ。自分で気づけるよう手助けする。

問題のすり替えに治療者が気づく。
生育歴、過去の親子関係より、現在の友人関係、恋愛、通学、出勤状況、体の不調などを取り上げる。過去の問題、自傷他害、退行的な行動より、現在の生活場面での問題を取り上げる。
「どうして手首を切ったの」→「学校の人間関係でどのように困っていたの」

問題をわかりやすく客観的に描写し、病気を外在化
→大変な問題だと共感はするが、具体的なアドバイス、批判は控える。
→治療目標を明確に(手首を切ることを減らす 薬物乱用を減らす)
患者の気持ちを引き受けすぎない。患者に主体性、責任を負わせる。

薬物療法は少量の非定型精神病薬。抗不安薬は脱抑制の危険があり勧められない。


薬物依存症、アルコール依存症(P126)、摂食障害(P115)はしばしば合併することがあります。

自閉スペクトラム症(P69)とパーソナリティー障害の鑑別は重要です。両者とも風変わりで理解しがたい人々であることが多いが、自閉症では集団行動の型にうまくはまると次第に落ち着く。一方、パーソナリティー障害は型にはめられると激しく拒否する傾向があります。


精神科の病気は大きく分けて、次の5つのカテゴリーがあります。

外因→内因→心因の順で原因を探します(P64)
正常と異常は連続している(スペクトラム)
精神症状と病気が1対1で結びつくわけではない→カテゴリー診断(P22)

1統合失調症 
2躁うつ病、うつ病、不安症、強迫症、アルコール依存症、摂食障害 
3意識障害(せん妄、睡眠障害、てんかん)
4小児の精神疾患(自閉症スペクトラム、知的障害など) 
5高齢者の精神疾患(認知症) 

1の疾患は、空想の世界に飛躍して人間関係を断つ傾向。対して2の疾患群は現実の人間関係にこだわることで病状が悪化する傾向があります。


統合失調症の「症状」「困っていること」とは「ひととなり、人間性、生き方」の表れ

病気の症状がなぜ起こってくるか理解しようとする。
同じ目線で同じ人間として敬意を持って接する。相手の感じ方、態度に合わせる。
説得しようとしない。黙って同じ場所にたたずみ話を聴く。
今、この場では『安全であること』を(言葉だけではなく)態度で伝える。

暴力を振るってしまうのは
衝動を抑制する為のエネルギーや余裕がないから(=行動をコントロールできない)

他者を怖がって、自分の身を守るために攻撃している(周りをコントロールしようとして他者を怖がらせているのではない!)


関わりを拒絶するのは
(隅でうずくまり、無表情で視線を合わさず、問いかけにもなかなか応じない)
⇒ 自分の内面が探られている。自分の存在がおびやかされていると感じている。
緊張して余裕がなく、自分の気持ちを表現できない
⇒ たくさん話しかけるよりも、まずその人を理解していこうと心がける。
⇒ 表情や姿勢、行動から、かれが何に興味を持って、どんな反応をするのかを少しずつ知っていく。無理やり動かそうとせず、かれらのペースに合わせる。
⇒ 体の心配や、身の回りの世話を通して、少しずつ関わっていく(便秘や下痢、食事が摂れない、脱水など)

なぜ、関わりを拒絶するのか? なんらかの不安、あるいは妄想や疑いを抱いているのかもしれない。他人には理解できなくても、彼にとってその恐怖は本物の体験(実際の状況ではなく、その人が状況をどう受け取るか)。肯定も否定もしない。「私にはわからないが、あなたはそう思えて苦しんでいるのですね。」という態度。

 生活にリズムをもたせ、今、ここでの現実との関わりを強化する。洗面や歯磨き、入浴等の際に「気持ちいいね」「さっぱりするね」と言葉を添える


以上の内容は、分かりやさを優先して簡略化して説明しています。実際の臨床上では例外も多いのでご注意下さい。

前回の講義内容です。

メヂカルフレンド社 精神看護学2 第2章 精神症状について(2018/5/10)
メヂカルフレンド社 精神看護学2 第3章 統合失調症、神経発達症群(2018/5/24)

北勢病院 精神科医師 森豊和